正しい皮膚科診断を行うために 
                      
                      
                        当院の皮膚科診療では、適切な治療を進めていく為には正確な皮膚科診断を行うことが大切だと思っております。痒みを主訴として皮膚科を受診される方の多くが、痒い皮膚病=アレルギー(あるいはアトピー)と思われているようですが、痒みを伴う皮膚病はアレルギーやアトピーのほかにも沢山存在します。
                        正しい皮膚科診断を行うためには適切な手順をふみ、鑑別診断を行い他の皮膚病ではないと除外診断をして、初めてアレルギーやアトピーとの診断をいたします。
                      
単なる思い込みや“勘”で正確な診断を下すことは出来ません。正確な診断を行うまでには、時間はかかりますが、その子の治療を考えると「急がばまわれ」です。正確な診断が、動物たちの皮膚と心を平穏に、そして家族との素敵な関係を築くと思っております。
診療の流れ
                    
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                          STEP01
                          
問診
 
- 過去の治療、投薬歴とその効果
 - 家族構成
 - 飼育状況
 - 同居動物
 
- 各種予防
 - 避妊手術,去勢手術
 - フード、おやつの種類とその構成タンパク
 
などの皮膚病の経過を飼い主様から正確に聞き取ります。
                    
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                          STEP02
                          
身体検査
 
体重や体温、聴診所見など動物の全身の身体検査をしたうえで、毛艶やフケの有無、皮膚病変としての発赤、脱毛、びらん、潰瘍、水疱、自傷痕の有無など皮膚の状態を詳細に視診、触診します。
                    
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                          STEP03
                          
鑑別診断のための臨床検査
 
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                          細胞学的診断
                          
皮膚滲出液や耳垢、また皮膚掻爬により採取したサンプルをそれぞれの目的に合わせてKOH処理やグラム染色など各種染色をして鏡検します。またアセテートテープを使用する方法もあります。
 
- 細菌・真菌培養感受性検査
 - アレルギー検査(アレルゲン特異的IgE検査・アレルギー強度検査・リンパ球反応検査)
 - ホルモン検査(甲状腺ホルモン・コルチゾール・性ホルモンなど)
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                        皮膚生検
                        
パンチ生検、あるいはメスによる全層生検を行い専門の検査機関に皮膚組織病理検査を依頼します。
免疫介在性皮膚疾患や特殊な感染症など一般的な治療法に反応しない場合や原因がつかみにくい皮膚病の確定診断に対して適応します。