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【コラム】その鼻水、ただの鼻炎?犬・猫の鼻の病気とCT検査
「最近、鼻水がなかなか治らない」「くしゃみを何度も繰り返す」「突然、鼻血が出た」……そんな症状はありませんか?
鼻水やくしゃみは、ワンちゃん・猫ちゃんにも比較的よく見られる症状です。一時的なもので自然に良くなることもありますが、症状が長引いたり、鼻血が見られたりする場合には、鼻の奥に病気が隠れていることもあります。
今回は、ワンちゃん・猫ちゃんの鼻水やくしゃみ、鼻血の原因となる病気と、原因を詳しく調べるための検査についてお話しします。
犬・猫の鼻水・くしゃみ、原因は鼻炎だけじゃない!
鼻水やくしゃみが出ると、「風邪かな?」「鼻炎かな?」と思われるかもしれません。しかし、鼻の症状を引き起こす病気は一つではありません。
代表的なものとして、

など、さまざまな原因が考えられます。
原因によって治療方法は大きく異なるため、「鼻水だから鼻炎だろう」と症状だけで判断することはできません。
特に、鼻水が長く続く、片方の鼻だけから鼻水が出る、鼻水に血が混じる、鼻血を繰り返す、治療をしてもなかなか改善しないといった場合には、単なる鼻炎ではなく、鼻の奥に異物や腫瘍などが隠れている可能性も考える必要があります。その中でも、特に知っておいていただきたい病気の一つが「鼻腔内腫瘍」です。
「鼻腔内腫瘍」とは?
鼻腔内腫瘍(びくうないしゅよう)とは、その名前の通り、鼻の中(鼻腔)にできる腫瘍です。
鼻腔内腫瘍の難しいところは、体の表面にできる腫瘍と違って、外から見ただけでは分からないことです。初期には鼻水やくしゃみなど、鼻炎とよく似た症状から始まることもあるため、すぐに腫瘍だと気づくことは簡単ではありません。
腫瘍が大きくなってくると鼻の中の組織や骨に広がり、鼻血や鼻づまりがみられたり、さらに進行すると顔が腫れたり変形したりすることもあります。
もちろん、鼻水が長引いたり鼻血が出たりしたからといって、必ず鼻腔内腫瘍というわけではありません。鼻炎や感染症、異物などでも似た症状がみられます。だからこそ、「症状だけで判断する」のではなく、鼻の中で何が起きているのかを詳しく調べることが大切です。。
見えない鼻の奥の調べ方
鼻水やくしゃみ、鼻血の原因を調べるためには、まず症状がいつから続いているのか、片方の鼻だけなのか両方なのか、鼻水の色や血が混じっていないかなどを確認します。また、鼻だけでなく、口の中や歯の状態なども診察します。
しかし、鼻の奥は外から直接見ることができません。そのため、症状が長く続いている場合や、腫瘍や異物などが疑われる場合には、画像検査で鼻の中を詳しく調べることが必要になります。
画像検査の一つにレントゲン検査があります。レントゲンでは鼻やその周囲の骨の状態などを確認することができます。しかし、鼻の中は細かな骨や空洞が複雑に入り組んでおり、レントゲンではそれらが重なって写るため、異常がどこにあるのか、どのくらい広がっているのかを詳しく確認することが難しい場合があります。
そこで、鼻の中をより詳しく調べるために役立つのがCT検査です。

CT検査で分かること
CT検査では、複雑な鼻の内部を細かな断面の画像として見ることができます。そのため、レントゲンでは分かりにくい鼻の奥の状態まで詳しく確認することができます。例えば、
- 鼻の中のどこに異常があるのか
- 異常がある部分の大きさや広がり
- 鼻の中の骨が壊れていないか、変形していないか
- 目や歯の周囲など、周りの部分に影響がないか
- 鼻の中に異物がないか
などを詳しく調べることができます。
また、鼻のすぐ近くには、目や歯、脳などの大切な組織があります。CT検査では、病気がこうした周囲の組織にまで広がっていないかを確認することもできます。歯の根元の病気が鼻に影響しているなど、鼻以外の場所に原因が見つかることもあります。
このようにCT検査は、「鼻の中で何が起きているのか」「どこまで広がっているのか」を詳しく知るために、とても役立つ検査です。
腫瘍が疑われたら、次の検査へ
CT検査によって鼻の中の状態を詳しく見ることはできますが、画像だけですべての病気を確定できるわけではありません。
例えば、CTで鼻の中に腫瘤(しこり)が見つかった場合、その形や広がりから腫瘍が疑われることはあります。しかし、それがどのような腫瘍なのかを確定するためには、しこりの一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる病理検査(組織検査)が必要になります。また、感染症が疑われる場合には、採取した組織や分泌物などを詳しく調べる検査を行うこともあります。
実際の症例:鼻血から見つかった猫ちゃんの鼻腔内腫瘍
当院で診察した猫ちゃんに、鼻血をきっかけに鼻腔内腫瘍が見つかった症例があります。この猫ちゃんは、以前から鼻炎やアレルギーの治療を受けていましたが、なかなか改善せず、鼻血が見られるようになり、詳しい検査を行いました。
CT検査では、鼻の中に病変が確認され、鼻の内部の骨にも変化が見られました。また、病変が左眼の周囲にまで広がっていることが疑われました。
その後、パンチ生検という方法で組織を一部採取し、顕微鏡で詳しく調べる病理検査を行いました。その結果、「腺癌(せんがん)」という悪性腫瘍であることが分かりました。
このように、CT検査で腫瘍の場所や広がりを確認し、病理検査で腫瘍の種類を調べることで、より正確な診断につなげることができます。

その子に合った治療へ
鼻の病気は、原因によって治療方法が大きく異なります。
鼻の中に異物が見つかった場合には、その異物を取り除く治療を検討します。感染症や炎症が原因であれば、それぞれの原因に合わせた薬による治療を行います。歯の病気が原因であれば、原因となっている歯の治療が必要になることもあります。
そして、鼻腔内腫瘍が見つかった場合には、腫瘍の種類や大きさ、広がっている範囲などを確認したうえで、治療方法を考えていきます。腫瘍の種類や状態に応じて、外科手術、放射線治療、抗がん剤による治療などが検討されます。どの治療が適しているかは、腫瘍の種類や進行の程度、その子の年齢や全身状態などによって異なります。
症状が続いたらご相談を
鼻水やくしゃみはよく見られる症状ですが、長く続く場合や鼻血が見られる場合には、思わぬ病気が隠れていることがあります。大切なのは、「いつもの鼻炎かな」と自己判断せず、症状が続くときにはきちんと原因を調べることです。早めに原因が分かれば、その子に合った治療にもつなげることができます。気になる鼻の症状が続いているときは、どうぞお気軽にご相談ください。