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【コラム】キラキラおしっこ★尿石症を知ろう
「うちの子のおしっこにキラキラしたものがある!」なんてことはありませんか? 実はそれ、ワンちゃんや猫ちゃんの体内でできた石、つまり「結石」かもしれません。尿石症は、尿路に結石ができることで、おしっこをするのが難しくなって、痛みや健康に悪影響を及ぼす病気です。今回は、尿石症の原因や症状、そして愛するワンちゃんや猫ちゃんを守るための予防法についてお伝えします。
尿石症とは
尿石症は、尿路(腎臓から尿管、膀胱、尿道の尿が体外に出るまでの通り道)に石(結石)ができる病気です。主に尿管や膀胱、尿道に影響を与えます。結石は尿の中のミネラルが結晶化してできます。そして、おしっこをする時に痛かったり、おしっこが出にくくなったりすることがあります。ワンちゃんや猫ちゃんによく見られる尿石には、「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の2種類があって、原因や治療法が異なります。
尿石症の原因
尿石症は、ワンちゃんや猫ちゃんの尿に含まれるミネラルが結晶化し、結石ができることで発生します。その原因にはいくつかの要因があります。まず、マグネシウムやリン、カルシウムなどのミネラルを多く含む食事は結石を作りやすくします。また、尿のpHバランスも影響し、アルカリ性の尿ではストルバイト結石、酸性の尿ではシュウ酸カルシウム結石ができやすくなります。さらに、水分不足は尿を濃くして、ミネラルが結晶化しやすくなります。特に猫ちゃんは元々水を飲む量が少ないので、リスクが高いです。加えて、ミニチュア・シュナウザーやシーズー、バーミーズ等、一部の犬種や猫種は遺伝的に尿石症にかかりやすいと言われています。さらに、尿路感染症が起こると尿のpHバランスが変わって、ストルバイト結石ができやすくなる等、細菌感染も尿石症の原因の一つとなります。
尿石症の症状
尿石症の症状は、結石の大きさや場所、進行具合によってさまざまです。初期段階では症状が目立たないこともありますが、結石が大きくなると、頻尿や血尿、痛みなどの症状が現れます。
まず、頻尿は尿石症の一般的な症状です。ワンちゃんや猫ちゃんがトイレに頻繁に行くけれど、尿の量が少なかったり、全く出ないこともあります。これは、結石が尿道を部分的にふさいでいたり、膀胱炎を起こしたことでの残尿感や尿のしぶりをおこしているためです。また、尿に血が混じる「血尿」が見られることもあります。これは、結石が膀胱や尿道を傷つけることで起こります。
さらに、おしっこをするときに痛みがあり、ワンちゃんや猫ちゃんがトイレに行くのを嫌がったり、苦しそうな声を出すことがあります。特に猫ちゃんの場合、トイレでじっとしている時間が長くなることがあり、普段と違う様子に気づいたら注意が必要です。また、おしっこができないことが大きなストレスとなり、元気がなくなったり、食欲が低下することもあります。こうした状態が続くと、体重が減ることもあります。
特に注意が必要なのは、結石が尿道を完全にふさいでしまい、おしっこが出なくなる「尿閉」という状態です。この状態になると、体の中の老廃物が排出されなくなり、急速に症状が悪化します。尿閉は非常に危険で、24時間以内に治療を受けないと命に関わることがあります。この場合、ワンちゃんや猫ちゃんは強い痛みを感じ、お腹が膨らんでぐったりしてしまいます。
尿石症の診断
尿石症は、尿検査やエコー、レントゲンなどで診断されます。まず、尿検査では、尿のpHバランス、結晶の有無、血液や細菌が含まれているかを確認します。pH値は結石の種類を見極める重要な指標で、尿に結晶が見つかると、結石ができている可能性が高いです。
次に、画像診断としてレントゲンやエコー検査を行います。レントゲンでは、特にカルシウムを含むシュウ酸カルシウム結石が確認しやすく、一方でストルバイト結石や他の結石はエコーで詳しく確認できます。エコーは、結石の大きさや位置、尿路への影響を把握するのに役立ちます。
また、細菌感染による結石の場合、必要に応じて細菌培養検査を行い、特にストルバイト結石の治療に役立つ情報を得ることができます。これらの検査を総合して、結石の種類や治療方法を決めていきます。結石の種類によっては食事療法や手術が必要な場合もあるので、正確で早い診断が大切です。
尿石症の治療
尿石症の治療には主に食事療法、薬物療法、外科手術の3つがあります。どの治療法が適切かは、結石の種類や大きさ、犬や猫の状態によって異なるため、正確な診断が重要です。
食事療法は、特別な食事を与えることで結石を溶かす方法です。特にストルバイト結石に効果的です。ストルバイト結石は、尿がアルカリ性になるとできやすいので、食事療法で尿を酸性に保ち、結石を溶かします。この専用の療法食は、マグネシウムやリンなどのミネラルを制限し、尿のpHバランスを調整します。結石が溶けるまでには数週間から数か月かかるので、定期的にエコー等の画像診断や尿検査を行って治療の進捗を確認します。
一方、シュウ酸カルシウム結石の場合は、食事療法で結石を溶かすことはできませんが、食事管理で新しい結石の形成を防ぐことが大切です。この場合、カルシウムやシュウ酸の摂取を抑えて、尿を中性に保つようにします。これにより、結石の再発を防ぎます。
次に、薬物療法についてですが、これは結石の種類によって補助的に適用されることがあります。例えば、ストルバイト結石が細菌感染によってできた場合、抗生物質を使って感染を治療します。細菌感染が改善されることで、結石の形成も抑制されることがあります。また、痛みや炎症を和らげるために鎮痛剤や抗炎症薬が処方されることもあります。
外科手術は、結石が大きい場合や尿道を完全に塞いでしまった場合に必要になります。特にシュウ酸カルシウム結石は食事療法で溶かすことができないので、手術で取り除くことが一般的です。手術では膀胱や尿道を切開して、結石を取り除きます。手術方法は、結石の位置や大きさによって選択されます。手術後は、再発を防ぐために食事療法や水分管理が行われます。定期的な検査も行い、再発を早期に発見することが大切です。特にシュウ酸カルシウム結石は再発しやすいため、予防のための食事管理と水分補給が大切です。
尿石症の予防
尿石症を予防するためには、いくつかの大切なポイントがあります。まず、水分をたくさん摂ることが基本です。しっかり水を飲むことで尿が薄まり、結石ができにくくなります。特に猫ちゃんは水をあまり飲まないことが多いので、ウェットフードを与えるのが効果的ですし、家の中に複数の水飲み場を作ったり、自動給水器を使うことで水を飲む習慣を促すことも良い方法です。
次に、バランスの取れた食事が重要です。結石の種類によっては、体質やミネラルが多い食事が原因となることがあるため、適切な療法食を選ぶことが予防につながります。尿石症の療法食管理は、それ以外のもの(おやつやふりかけ、他のフード)を混ぜてしまうと療法食の効果が得られないので厳密なものとなります。
また、定期的な尿検査も大切です。尿のpHや結晶の有無を確認することで、結石ができる前に対処できます。特に結石ができやすい子や、過去に尿石症になったことがある子は、早めに異常を見つけるために定期的に診察を受けることが大切です。
最後に、ストレス管理も重要なポイントです。ストレスがかかると水を飲む量が減ったり、おしっこの習慣が乱れることがあり、これが結石の原因になることがあります。犬や猫がリラックスできる環境を整えることで、尿石症の予防に役立ちます。
尿石症は早期発見と適切なケアで予防や治療が可能な病気です。愛するワンちゃん・猫ちゃんの健康を守るためにも、日頃からトイレの様子や食事、水分摂取に気を配りましょう。そして、異変があればすぐにご相談ください。