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【コラム】猫ちゃんも要注意!なフィラリア症
この度、当院ウェブサイトでの新たな試みとして、不定期でコラムを掲載することにいたしました!!
動物さんの病気や治療、最新の獣医学も情報など、動物さんたちの健康と幸せをサポートし、飼い主様と動物さんの生活をより豊かにする内容をお届けいたします。コラムは当院の獣医師やスタッフが執筆し、専門的な知識をもってわかりやすく解説してまいりますので、ぜひチェックしてください!
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第一回目は、あまり知られていない「猫ちゃんのフィラリア症」についてお話しします。
ワンちゃんが気をつけなければならない病気として知られているフィラリア症。じつは猫ちゃんもかかってしまう病気なんです。
フィラリア症とは?
フィラリア症とは、犬の糸状虫(フィラリア)という細長い寄生虫が原因で起こる病気です。この寄生虫は、心臓や肺の血管に住み着き、循環器系や呼吸器系の問題を引き起こします。
フィラリアのライフサイクル
フィラリアは蚊を通じて広がります。蚊がフィラリアに感染している動物の血を吸うと、フィラリアの微小幼虫(ミクロフィラリア)が体内に入ってきます。蚊の体内でこの幼虫は約10日から14日後に第三期幼虫へと成長します。そして、この第三期幼虫が、蚊が次に刺す動物に移ります。猫が蚊に刺されると、第三期幼虫が猫の皮膚を通じて体内に入り、さらに成長し最終的に成虫になります。フィラリアは主にイヌ科動物に寄生して生活するため、猫への感染は起こりにくく、感染しても、猫の体内で成虫まで成長し、心臓に到達して成熟することは少ないです。
猫のフィラリア症の症状
猫がフィラリアに感染すると、最初ははっきりした症状が出ないことが多いですが、感染がひどくなると、元気がなくなったり、食欲不振での体重減少などの症状が現れることがあります。
また、猫がフィラリア症に感染した場合、多くは猫の免疫反応によって成虫が成長する前に死亡するのですが、これが原因で猫は肺で急性の炎症を起こし、咳や呼吸困難が現れることがあります。
まれに猫の体内で成虫にまで成長するフィラリアは、肺動脈に寄生し、数年間生き続けることがあります。そして成虫が死んでしまうと、肺で重度の炎症が起きたり、死んだ成虫の体が詰まってしまうことで突然死を引き起こすこともあります。
猫のフィラリア症の診断
猫のフィラリア症の診断は、その症状が他の病気と似ているため、難しいことがあります。また、猫の体内ではフィラリアが成虫に成長しにくいので、感染していても見つけにくいことがあります。そのため、猫のフィラリア症を正確に診断することはとても難しいです。
犬の場合は血液検査で、フィラリアが体内で作り出す特定の物質(抗体や抗原)を検出、フィラリアに感染しているかどうかを調べることができます。しかし、猫の場合、体が十分な抗体を作らないことが多く、またフィラリアの抗原が少ないので、感染していても検査で発見できないという問題があるのです。
猫のフィラリア症の治療
猫のフィラリア症の治療は、現在、猫のフィラリア症を直接直す方法はないので、出ている症状を和らげるための対処療法が中心となります。猫の体内で起こっている炎症を落ち着かせ息苦しさや痛みを緩和するために免疫抑制薬やステロイドを用いたり、体に余分な水分がたまり心臓に負担がかかることをさけるために利尿剤を使いることが一般的です。
また、これらの治療と一緒に、猫がこれ以上フィラリアに感染しないように予防薬を使って駆虫することも大切です。
しかし、フィラリア症に感染することで、猫の肺組織に炎症が起こり肺の構造が変わってしまい、フィラリアが体内からなくなった後も、呼吸器症状が残ることがあります。その場合は、生涯にわたって治療が必要となります。
フィラリア症の治療として、外科手術によって寄生しているフィラリアを取り除く方法もあります。しかし、手術は、フィラリアが心臓や大動脈に存在し、それによって命に関わる問題が発生している場合に限られます。また、猫の体格や心臓の小ささを考えると、手術自体が大きな負担となり、また重大な合併症を引き起こす可能性もありリスク高いです。
予防が大切です!
猫のフィラリア症は診断も治療も難しいので、予防がとても重要となります。フィラリアの予防薬は、フィラリア症に感染するのを防ぐのではなく、体内にはいってきた幼虫を殺すことで、成虫に成長するのを防ぐ駆虫薬になるので、定期的な投与が必要です。当院では1ヶ月に1回または3ヶ月に1回投薬するスポット剤を準備しています。
あまり知られていない猫のフィラリア症。獣医師との定期的な相談を通じて、適切な予防策を講じることで、大切な家族の一員である愛猫をこの危険な寄生虫病から守ってあげましょう!